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C/EBPa (CCAAT/enhancer binding protein) の構造と機能

    C/EBPファミリーは、種々の標的遺伝子のプロモーター領域に存在するCCAATモチーフに結合することで、転写調節を行うB-ZIP型転写因子である。C/EBPファミリーには6種類のメンバーが属しており、肝細胞や造血細胞、脂肪細胞などの種々の組織で発現が報告されている (Lekstrom-Himes and Xanthopoulos, 1998; Tsukada et al., 2011)。

    C/EBPaは、全長型p42とN末端側を欠いたp30の2つのアイソフォームが存在する。p42は3つの転写活性化部位 (TE1、TE2、TE3) を有しており、TE1、TE2にTATAボックス結合タンパク質などの基本転写因子が結合する (Khanna-Gupta, 2008)。しかし、p30はTE1、TE2を欠いており、転写活性能が低く、p42と二量体を形成することにより、その働きを抑制することが報告されている(Khanna-Gupta, 2008)。

    C/EBPaは、肝臓では肝細胞の成熟化に必須の転写因子であり、糖新生や尿素回路酵素遺伝子の発現を調節している。C/EBPa遺伝子欠失マウスでは、肝細胞の成熟化が起こらないことや、肝実質部に胆管上皮細胞マーカーのサイトケラチンを強く発現する管腔構造が多数形成されることが報告されている (Wang et al., 1995; Flodby et al., 1996; Soriano et al., 1998; Tomizawa et al., 1998; Yamazaki et al., 2006)。

    これらの報告は、C/EBPaは肝細胞の成熟化に必須の転写因子であるとともに、胆管の形成にC/EBPaの発現抑制が重要な役割を担っていることを示唆する。

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