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マウス肝臓の発生

    マウス肝臓の起源は前腸内胚葉であり、E8.5-9.0頃に、前腸内胚葉が心臓中胚葉から分泌される線維芽細胞増殖因子(FGF; fibroblast growth factor) や、引き続く横中隔間充織 (STM; septum transversum mesenchyme) より分泌される骨形成因子 (BMP; bone morphogenetic protein) などによる刺激を受けることで肝発生が開始する (Fukuda, 1981; Jung et al., 1999; Le Douarin, 1975; Rossi et al., 2001)。心臓中胚葉由来のシグナルは肝細胞への分化を促進し、同様の内胚葉系細胞である膵臓への分化方向性を抑制することが知られている (Deutsch et al., 2001)。このような刺激を介して、腹部内胚葉で肝細胞核因子 (HNF; hepatocyte nuclear factor) やFoxa (forkhead box)、GATA (GATA binding protein) などの転写因子の発現上昇が起き (Lee et al., 2005; Li et al., 2000; Zhao et al., 2005)、形態学的にはE9.5頃に内胚葉の肝芽、憩室形成を経て、隣接するSTMへ肝芽細胞が侵入することで発生が進行していく。また、Hhex、Prox1、Hlxなどの転写因子も肝芽形成の促進因子として知られており (Burke and Oliver, 2002; Hentsch et al., 1996; Keng et al., 2000)、肝芽形成は肝内胚葉の周囲の細胞外マトリックスのリモデリングや憩室形成、E-カドヘリンに由来する細胞間接着などを介しても誘導される。

 

マウス肝臓の組織構造

    肝臓は体内最大の代謝器官であり、その中心的な細胞は成熟肝細胞である、形態的には肝小葉と呼ばれる六角柱構造を構成単位とする。肝小葉内には類洞と呼ばれる毛細血管が中心静脈と門脈を繋ぎ、肝細胞索が類洞に並行して配置する。肝小葉周辺には肝内胆管、門脈、肝動脈が配置する。類洞内皮細胞と成熟肝細胞間のディッセ腔には線維芽細胞である肝星細胞、類洞管腔にはマクロファージであるクッパー細胞、門脈周囲には胆管上皮細胞が存在する。このように肝臓は種々の細胞より立体構造的に構築されており、その組織形態は非常に複雑である。

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