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Tnfr1 (type I tumor necrosis factor receptor) の構造と機能

    Tnfr1は、アポトーシスや免疫反応においてメディエーターとして働くサイトカインであるTNFaの受容体の一つである。Tnfr1はホモ三量体を形成しており、全身の多くの組織で構成的に発現している。そのリガンドであるTNFaは、まずⅡ型膜貫通タンパク質として産生されたあと、金属プロテアーゼTACE (TNF converting enzyme) により切断され、Tnfr1と同様にホモ三量体を形成する。Tnfr1が仲介する細胞内シグナルは細胞のアポトーシスあるいは生存を誘導することが知られている (Ihnatko and Kubes, 2007)。

    肝部分切除後の肝再生過程において、TNFaは初期にTnfr1を介して、残った肝組織における細胞増殖を惹起することが知られている (Fausto et al., 2006)。肝再生過程では、まずTNFaがTnfr1に結合することで、NF-kBの活性化して、IL-6などの炎症メディエーターを産生させる。IL-6はSTAT3を活性化されることにより、cyclin Dの遺伝子発現の亢進が起こり、細胞増殖 (DNA合成) に移行させる。これにより、G0期で休止していた肝細胞を細胞周期に引き戻し、肝細胞の増殖が促される (Shimizu et al., 2009)。

    そのため、Tnfr1遺伝子欠失マウスでは、肝部分切除後、野生型マウスと比較して、生存率が著しく低下し、肝重量の回復が遅延することが報告されている (Shimizu et al., 2009)。

  

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