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Inversin の構造と機能

    Inversinは、1065アミノ酸からなるタンパク質であり、N末端側は16個の約33アミノ酸からなるアンキリンリピートから構成されている。また、C末端側は転写因子IID (TFIID) の構成要素と相互作用する幅広いトランス活性をもつHerpes simplex virus 1 protein “infected cell polypeptide 4” (ICP4) と相同性のあるドメイン (615-832) から構成されている (Lester and DeLuca, 2011)。このICP4ドメインには2つのカルモジュリン結合IQドメインが隣接している (Morgan et al., 2002b and Yasuhiko et al., 2001)。

    Inversin遺伝子は異なるアイソフォームをコードする2つのトランスクリプト・バリアントが同定されているが、それ以外にも様々な分子量のタンパク質産物が存在することが知られている (Nurnberger et al., 2002 and Ward et al., 2004)。

   また Inversinタンパク質は特に腎尿細管細胞の一次繊毛において強く発現し、腎尿細管の発生に重要な役割を担っている。nephrocystin-3とnephrocystin-9 (Nek8)の近位細尿管の一次繊毛への局在化にInversinが寄与することが報告されている (Shiba et al., 2010)。また、動物個体の左右軸決定にも関与することが知られている (Morgan et al., 1998)。

   Inversin遺伝子の変異は、腎髄質において嚢胞形成を引き起こす『ネフロン癆2型』と関連することが報告されている (Okada et al., 2008)。

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