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Hhex (Hematopoietically expressed homeobox) の構造と機能

    Hhex遺伝子はホメオボックスファミリーに属する転写因子である (Soufi and Jayaraman, 2008)。Hhexはニワトリ骨髄細胞からプロリンリッチなホメオボックス型のタンパク質 (PRH: Proline-rich homeodomain) をコードする遺伝子として同定された (Crompton et al., 1992)。その後、ヒト・マウスにおいても高度に保存されていることや、げっ歯類の成体肝臓、甲状腺、肺、胸腺、胆嚢などで発現することが報告されている (Thomas et al., 1998; Bogue et al., 2000; Keng et al., 2000; Tanaka et al., 1999; Hallaq et al., 2004)。

    Hhexタンパク質は細胞増殖、分化、体軸形成、内胚葉性臓器の発生、造血に必須であることが報告されており、転写活性化、不活性化、さらには他のタンパク質との相互作用を通して種々の遺伝子発現制御を担うことが知られている (Crompton et al., 1992)。

   HhexはN末端ドメイン (NT)、ホメオドメイン (HD)、C末端ドメイン (CT) の3つのドメインに分けることができる(Crompton et al., 1992)。NTはプロリンリッチな領域であり、この領域は転写不活性化に必要であり、血管内皮増殖因子-A (VEGF-A) や内皮細胞特異的分子-1 (ESM-1) などの発現を抑制することが知られている (Tanaka et al., 1999; Hallaq et al., 2004; Cong et al., 2006)。HDはN末端側のアーム構造と3つのα-ヘリックス構造からなり、配列特異的なDNAとの結合を制御している(Billeter, 1996)。CTドメインは酸性アミノ酸を多く含み、胆汁酸のトランスポーターであるsodium-dependent bile acid co-transporter (NTCP) の転写活性化に必要である(Kasamatsu et al., 2004; Denson et al., 2000)。また、Wnt/β-カテニン経路の阻害因子であり、Groucho/Tleファミリーメンバータンパク質の一つであるTransducin-like enhancer of split 1 (Tle1) などとタンパク質間相互作用を行うという報告がなされている(Denson et al., 2000)。

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